Tato Architects / Yo Shimada

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多摩美八王子図書館

見学記録。
伊東豊雄氏の設計。
敷地の斜面を写し取ったコンクリート土間の上に緩くカーブを描く極薄のアーチ状のコンクリートが2層積み重なる構成。


信じられないような精度であわせられた、緩いカーブを描くガラスとコンクリート。
一応講師の方との利用方法についての打ち合わせという名目で図書館内に入れてもらう。(一般公開は7月からです。)
新種の水棲生物のような、ガウディの地下聖堂のような、あたらしくてなつかしい、ふしぎな空間。
そして
建築と家具との関係のとりもち方が、とても良く、親密な空間が醸し出されていた。

ファサードの曲面ガラスには虹のような映り込みが発生していたのだけれど、あの現象は一体なんだったのだろうな。

2007. 6. 10建築探訪

Shelf-pod  君府亭 

森田一弥氏のShelf-podのオープンハウスに。大量の書物を所蔵している施主の書庫兼住居。肌理とスケール感が素敵な建物だった。
大量の棚のみで壁面の構造を作り上げており、それが軽快な開口部の表情にあらわれている。
一般的に感知される柱が無いということ、隠蔽される部分が少なくほとんど現しになっていること、300㎜の棚のモジュールに肌理が整えられていることが、こざっぱりとした風情と親密さを建物に与えているように思えた。
その後、施主に誘われて姫路のEASEにTenniscoatsとゑでぃまあこんのライブを観に。
暖かくて素敵な気持ちになって出てきたら、終バスがもう無くなっていた。
が良い気分だったので姫路駅までのんびり歩いて帰る。
ともう普通しか動いていない時間になっていたので、ゆっくり電車に揺られて帰る。
それも含めて素敵な日。

2007. 3. 25建築探訪

海辺の異人館 2

先日お伝えした海辺の異人館ですが、中を覗けるということで少し手を休めて見てきました。

なんだかろくな写真が撮れていなかったので以降は新しくスタッフになったHさんが携帯で撮った写真を拝借してお伝えします。

天井も高くたっぷりとした空間の使い方は、最近の建築には無い種類の空間。

バルコニーはガラスを嵌めて内部空間化することが出来る設計だが、嵌めるべき建具は既に失われてしまっている。
窓からは一面に海が眺められ、この空間が誰にも省みられずに打ち捨てられようとしていたかと思えば、今回の展開は本当にすばらしいことだ。森本さんが惚れこむのも良く分かる可能性のある場所だった。

帰り道に見かけた住宅。石井修氏の設計だとのこと。

帰路にて。

2007. 2. 16建築探訪

積層の家

知人の紹介で幸運にも「積層の家」を見学させてもらうことに。
日本建築学会賞をH&deMのPRADA青山と同時受賞した大谷弘明さんの小さな自邸。結論から言うと見なければよかった。こんな、こんな素晴らしいもん。頭の後ろのほうがじーんとしびれました。ほとんど恋なのでは。いやきっとそうだ。興奮しすぎて写真をあんまり撮っていないのでこのサイトでもどうぞ。
プレキャスト・プレストレストコンクリートという舌かみそうな代物を積むことで出来ている、かなり特殊な住宅ですが、「積む」というアイデアで細部から全体まで統御されていて、優れたアイデアというものは部分と全体が一気に決まるものだと思い知らされたよ。コンセントやスイッチ、照明の扱いも見事なシンプルさ。躯体工事の次の段階が家具工事というのも、この住宅の不思議な親密さに寄与しているんだろう。
ただ、設計の開始から竣工まで約7年掛かっています。さすがにそんなに時間を掛けるわけにもいかないのだけれど、もう少し時間を掛けれると嬉しいな(懇願)

2006. 6. 25建築探訪

NYC 06

これ以上はタイミングを逸してしまいそうなので、まとめてしまいます。
1/3
朝からチェルシーのギャラリー巡り。
といっても新年の入れ替え期間で大手のギャラリーは閉まっていた。
それでも空いている店を見つけては、しらみつぶしに見て廻る。
←ガゴーシアン。入れ替え中。展示して無くても良いから中を見せて~。と粘るも見れず。
チェルシーマーケットにて昼食。
大きな工場をショッピングセンターに改修したもの。荒々しい工場的なディテールが生き生きとした空間を生み出すことに一役買っていて楽しかった。
←COMME des GARCONSの素晴らしいファサード。
←dia chelsea跡。床のタイルは確かホルヘ・パルド
DIA BEACONといいチェルシーマーケットといい、NYではリノベーションされた空間の良さを堪能。MOMAも一種のリノベーションだ。
←チェルシーマーケット内のケーキショップ
夜は父のセレクトでメトロポリタン・オペラ劇場でアルバン・ベルグの不条理オペラ「ヴォツェック」に。
サイトウ・キネン・フェスティバル松本で安藤さんが舞台美術をやった演目。ちなみに伊東豊雄さんが設計したまつもと市民芸術館のこけら落とし公演。
こんな陰気なオペラをこけら落としに持ってくるとは、まつもと市民芸術館も侮れない。
うろおぼえストーリーは無学な兵卒ヴォツェックが、人体実験によって精神を蝕まれ、嫉妬に駆られて妻を殺して自殺し、残された子供がひとり箒にまたがってお馬さんごっこをして遊んでいるシーンで終幕。
新年からサイコスリラーオペラ。
メトロポリタン・オペラ劇場はフィリップ・ジョンソンの設計で、全然期待していなかったのだけれど、優雅で美しい。客も先日のNYフィルの時よりも着飾っており貴族的な雰囲気でツーリストは少々いたたまれませんよ。レストランも併設されており、開演前から食事を始めて休憩ごとに席に戻って食事を取る豪奢なコースもございます。
素晴らしいシャンデリア。これが段々暗くなりながらするすると上がって行くのが開演の合図。
終演後、歩いて兄のフラットまで帰り、朝4時に起床してNYを発ちました。
飛行機からちらりとサーリネンのJFKターミナル1(現在改装中)を拝謁してNY旅行は終わり。
約1ヵ月前の出来事です。
面倒だけれどまとめると気分の良いものだ。

2006. 2. 6建築探訪

NYC 05

1/2
朝から単独行動をすることにして、僕は再びMOMAへ見逃した階を見に。建築について改めて言うと、日本での谷口氏の建築の精度には達していません。割と大味な部分が散見される。それが残念といえば残念。僕は精度にはあまり興味が無い方なのですが。基本構成だけで、あるクオリティに達しているだけに。
見逃していたのは近/現代の絵画/彫刻フロア。単体で展覧会の主役を張れるものが溢れんばかりに展示。余りに多すぎて殆ど集中力を維持できませーん。流すように見た中では意外にもポロックが良かった。ポロックの絵を描いたときの体の動きや時間を追認できる感じが面白い。
建築のフロアで、先日はさらっと見てしまったエミリオ・アンバースのThe House of Spiritual Retreatをじっくり見る。
学生時代にコンセプト模型を見たのだが昨年になってやっと完成したらしい。設計が始まったのは1979年というから恐ろしい。
地下に居住空間を置き、地上には精神的な存在としての展望テラスのみを置く構成。
デザインのフロアに置かれているガラスの器を見て、ステンドグラスを使った装飾のアイデアをいくつか思い付く。いつか最高の形で扱える機会が来れば良いのだけれど。
MOMAのレストランで食事をして、ペイリーパークを見学に行くも閉鎖中。何故だ。
その後ミースのSEAGRAMを見学。普通の人にはありきたりのビルに見えるんだろうな。
カコイイ。
モダンはこいつによって一度完成させられてしまっている。
午後はP.S.1へ。
古い小学校を改修した現代美術館。
キースラーの巨大な展示があり、アメリカの911以降の監視社会を皮肉るような構成、カタカタたどたどしく動く機械類の面白さなどには魅かれるも、入り込めず。
その後地上を走るMETOROに乗って再びSOHOへ。余談ですがこの地上駅舎、地下鉄が走るだけでありえないくらいに揺れます。
乗り換え中に出会った、社交ダンスサークル発表会in METORO構内?
途中下車してフラットアイアンビルに拝謁。と思ったら工事中。
兄の話では先端部分に電光掲示板をつけるとの話だが、俄かには信じがたい。
SOHOに来た理由は、クールハースのPRADAを見る為。昨日はさすがに閉店中だった。
左下は昨日ウインドウ越しに撮った写真。
東京のH&deMや、その他のグリーンインテリアの、艶やかで滑らかな優美性をたたえた贅沢な空間を予想して行くと裏切られる。そこにあるのは粗くてダイナミックな工場のような空間だった。クールハースのリサーチ機関、AMOは排他性をテーマのひとつに掲げながら、一方でストリート
というテーマで高級感を否定しているのだが、この2つは両立しない。排他性の理解の仕方が間違っているのかな。ともかくAMOが掲げた、「高級店に入ると感じる不快感-買わされる強迫感からの開放」は成功していると思ったけれどブランドから神話化作用を剥ぎ取った結果、アウトレット的な感じが発生している感じがしたのは、いいんだろうか。
夜は近所のJAZZ CLUBへ。今日の演者はレスポール爺さんとその仲間達。レスポールってのはあの名ギターのレスポールの生みの親。まだご存命でしたか。曲はスタンダードなジャズを小粋に。半分くらい漫談でしたが、そのうち8割はシモネタでした。勘ですが。

2006. 2. 5建築探訪

NYC 04

偏光遊びもひと段落したのでNY記の続き
うかうかしているウチに1ヶ月前の出来事になってしまいましたよ。
リクエストも寄せられていることだし、忘れる前に書いてしまわないと。。
えーとなんだっけ。
1/1
朝からグラウンドゼロに。
唐突で巨大な不在。
時間的にも唐突なのだろうが空間的にも唐突で、周囲はグリッドシステムに則って新旧様々なビルが立ち並ぶ中、そこだけが巨大にぽっかりと穴開いているのは異様だ。
フリーダムタワーとか言うふざけた名前のビルでも建てないと癒せないという気持ちも分からないではない。
穴にはWTCの残骸である鉄骨が十字架のように残されていて、その向かいのNY最大のアウトレットデパートと、なんともいえないコントラストを示していた。
その後ウールワースビルを眺める。高層ゴシック建築で、とても格好よい。
近くにあるTRINITY教会よりも荘厳な感じがするのは皮肉だ。内部は見学不可。
その後、スタテン島行きのフェリー(無料)に乗ってマンハッタンを海から眺める。
外から眺めるとマンハッタンが島であることがよく分かる。特筆すべきはその起伏の無さだろう。とても薄い地表にグリッドシステムが敷かれ、ある種自動生成的に摩天楼が生まれ出ているのは、珍しい鉱物の表面を見るような気分になる。本当にグリッドシステムは強固で、ちょっとやそっとの努力は全てそのシステムに回収されてしまい、自律的な運動に見えてくる。帰ったらスパイダーマンをもう一度見てみようと思っていたのだが叶っていないな。
マンハッタンへと取って返し、中華街のほとんど狂乱状態の店の只中で、とても美味しい料理を平らげ、ブルックリン橋へ。
ところどころ鉄骨が錆付いていたり、足元のデッキ材から遥か下方の海面が見えたりと、少し怖い感じのする橋だけれど、力の漲った感じのする、とても美しい橋だ。それをのんびり歩いてロウワーマンハッタンへ。ここからもマンハッタンが美しく見え、記念撮影。
ロウワーマンハッタンではスティーブン・ホールのpratt institute brooklyn campus を外から見学。両親や兄も引き連れて見に来てしまい、少し反省。建築好きは一緒に旅行するには余りおすすめ出来ません。普通の人にはなんと言うことも無い建築をただ見るためだけに、結構足を伸ばしたりするので。ちょっとした病気だなと自分でもよく思う。

同じくホール設計の警備員詰め所。
その後はSOHOでウインドウショッピング。殆どの店は通常通り営業していて、新年というよりはクリスマス休暇の最後の1日なのだなと思う。

2006. 2. 5建築探訪

NYC 03

31日
兄の案内で国連ビルに。コルビジェが原案だったりニーマイヤーが絡んでたりするアレです。
マンハッタンでは珍しくオープンスペースが結構あるのはコルブの原案によってもたらされたものだろうか。内部は良質のモダニズム建築。兄の話では数年後に建て替えられるとの話。本当だろうか?
国連総会の議場の椅子が安手のビニール張りみたいなのはさすがに気の毒だったけれども。
近くのJAPAN SOCIETY GALLERYに杉本博司 歴史の歴史が巡回していたので見てみる。
自らのの写真作品と仏教・神道美術などの古美術のコレクションを組み合わせた展示。東京のエルメスでやっていた展覧会の評判は聞いていたので是非見てみたかったのだが、まさかNYで見ることになるとは。
全体にめろめろになるくらい美しかった。明晰すぎる挑戦的な構成。やっぱり六本木城の展覧会には行くべきだったか。。
5番街をそぞろ歩きしつつホイットニーミュージアムに。期待していなかったけれど、とても素敵だった。
その後セントラルパークで吹雪の中迷子になりそうになったり、自然史博物館をざっと見たりしつつタイムズスクエアにある兄のフラットに急いでもどる。カウントダウンがらみで無事帰り着けるか心配だったのですよ。
夕食は兄の家でアメリカのこわい肉をステーキにして食す。1ヶ月近く長期熟成させているらしくてなんだか、とろけるように美味いよ。日本の高級肉は脂が多すぎてそんなに好きじゃないけれど、ちゃんと肉の味がして柔らかい。日本人は新鮮なものばかり有難がるから、国民的にロリコンなんだという与太話をうっかり信じそうになりましたよ。
カウントダウン寸前になってのこのことタイムズスクエアに歩いていく。すごい人ごみだ。伊勢神宮みたいだ、と思っているとあっけなくカウントダウン。花火と紙吹雪。
HAPPY NEWYEAR!2006
どうか良い年でありますように。
と日本人の習性で拝みそうになりました。

2006. 1. 16建築探訪

NYC 02

30日
NYから電車で凍ったハドソン川を1.5時間ほどさかのぼり、DIA BEACONへ。NY滞在中、唯一晴天に恵まれたのでとても印象深い一日でした。DIA BEACONはナビスコの箱の印刷をする工場だった広大な(約207,600m2!)建物を転用して巨大なインスタレーションとも言うべき常設展示を行っている美術館です。

美しい前庭はRobert Irwinの作品
セラの巨大な鉄の板が渦巻き状に立っている作品が素晴らしかった。怖いという感想も聞くけれどそんなことは全く無かったな。鉄の表面の状態の移り変わりが美しいし、内部に入っていけるので、狭まったり広がったりするときに色々と自分の体感が測れる。結局のところ自分が建築に援用可能なアイデアを探してるだけかもしれないけれど。
夜はなぜかニューヨークフィルに。
シベリウスはとても面白かったけれどチャイコフスキーでは天国に行っしまいました。
簡単に言うと寝てました。

2006. 1. 14建築探訪

新年/NYC 01

あけましておめでとうゴザイマス。って遅すぎるにも程がありますが。
2006年も、もう13日目。約28分の1が過ぎ去ってしまいました。
さて年末年始にNYに行っていたので、とりあえず記録しておきます。
まず29日。早速MOMAに。
とにかく人が多い。歳末バーゲン並みに。荷物預けるのに30分以上。
谷口氏の設計は内部のアトリウムから各階の鑑賞者の動きが目に入り、各階からはアトリウムへの開口が感覚地理の指標になり迷わない。
各部に設けられた開口部から見え隠れするマンハッタンの街並み。
日本での谷口さんの美術館は長くて素晴らしいアプローチで結界をつくり、内部は静謐って感じですが、ここでは回転ドアでするりと美術館に入り、人ごみを抜けてお気に入りの絵を眺めて、反対側の通りへ抜けるという在り方が摩天楼の街中にある美術館らしくて良かった。
(会員証を持っていると入館はタダで、入場券を買うのに並ばなくて良い。兄が会員証を持っていたので借りてました。)
この日は家族で来ていたので3時間ほどで切り上げて、姪にあげるプレゼントを買いに巨大おもちゃ屋に行き、その後グッゲンハイムに。
グッゲンハイムは外装が改装中で特徴的なファサードは見れず。おまけにやっている展覧会があまり気に入らなかったため、2重にがっかり。
こちらもすごい人ごみで、デパートで絵を見ているような気分に。天井も低くて展示もなかなか難しそうだった。

その後SOHOのアーティストのロフトにお邪魔し、中華街でとてもおいしい夕食をご馳走になりながらSOHOに最初に住み始めた頃の苦労話などを拝聴。
とりあえず初日はこんな感じでしたよ。と
今年もどうぞよろしくお願いします。

2006. 1. 13建築探訪

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