Tato Architects / Yo Shimada

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北野町の住居2 着工しました。

随分と時間の掛かった北野町の住居2ですが、やっと着工することが出来ました。
観光地だけあって工事車輌が入るのにも、なかなか許可が下りず、やきもきしました。190mmの羽根付鋼管杭を6m*16本設置する予定です。

と思ったら1本目から転石に当たって曲がってしまう。当然やり直しだが、いきなりなかなかの難工事の予感です。
その後転石を避けたりしながらなんとか11本まで施工。スムーズに入っていくときは音もほとんど無く、精度もかなり高い。あと5本、何とか今週中に打ち終わってほしいものです。

2008. 5. 30北野町の住居2

Remains of the Light

先週は大学の少し上の先輩でもある安積朋子さんの展覧会Remains of the Lightを見にsferaへ。トークショーでは最近の活動を中心にたっぷり聴かせてもらい満足。最近のデザインの課題としてフラットパック化への試みをあげておられた。
(フラットパックというのは製品を組み立て式にして、なるべく小さく梱包し、運送コストを削減して輸送に掛かる環境負荷をなるべく減らすことを指し示すらしい。平面から立体への変形というと日本のお家芸のように思えるが、Tord Boontjeの高名な照明Garland Light なども見事に平面から立体をつくりだしている。)
フラットパック化への試みに、安積さんの最初期の仕事のひとつの特徴だった変形というタームが形を変えて出てきているのかとも思い、興味深かった。
また、最後の方に見せられた、100%design の企画展 10 X TEN project(10km 圏内で手に入る物を利用、費用は 10ユーロ 以内というプロジェクト)でのドアアイ(ドアにつける来訪者を覗くアレです)を空き缶に差し込んでピンホールカメラをつくる作品は、厳しい条件にもかかわらず詩的な答えが示されていて思わず拍手をしてしまいそうだった。
展示されていた、本物の小枝を型取りした樹脂の枝が蓄光しており、夜寝室に持ち込んで、小枝のぼぉっとした光で眠りにつくというアイデアはとても詩的で美しかったが、夜トイレに立つ際などにLEDか何かで光ってくれるとなお良いだろうにと、あまり詩的でないことを思いました。
夜中に人が近づくとぼんやりと光ってくれるLED付コンセントがありますが、そういうセンサーでいろいろと建築が反応してくれるのは楽しいような悲しいような、どう反応して良いか判断に困ります。便器のフタが自動的に開いてくれるのは、ただただ悲しいです。

2008. 5. 27展覧会・講演

森山邸/神奈川工科大学kait工房


東京の友人から敷地を見てほしいとの連絡があったこともあり、東京へ。
ちょうど西沢立衛設計の森山邸でマリオ・ガルシア・トレスの展覧会が行われていたので行ってきた。
敷地に部屋がばらまかれたような平面図からは、プライバシーの無い、かなり住むのに勇気の要りそうな雰囲気が感じられるのだが、実際は敷地周辺の下町からして、声を潜めなければ歩けないようなプライベートな雰囲気が漂っているので、その気配が濃縮されたような森山邸はおいそれと立ち入れない濃密で強固な私空間だった。
メディアにもさんざん露出しており、飽きるほど見ていた建築だが写真では判らないものだ。
個人的にはエアコンや照明器具を可能な限り隠蔽しているのが意外だった。
アルミサッシなどと同じくアノニマスな存在として受け入れられているのかと思ったが、他者によってデザインされたものは注意深く排除されている。
展示のあった縁側のような離れへは、1m程の高さの窓に腰掛けて入る。その身体の使い方が懐かしくも不思議な感じ。

翌日は石上純也設計の神奈川工科大学kait工房へ。まさに木立の中を歩くような体験。多目的工房としても実際に運用が開始されておりなかなか良い雰囲気で使われている。いろいろな方向を向き水平力を負担した、フラットバー状の柱と縞状にとられたトップライト。それだけに予算と労力を傾けた設計で、思ったより自然な雰囲気。真っ白で極細の柱は移動する際にぶつかりそうになるのではないかと考えていたが、意外と平気。
空間読解能力が刺激され、木立の中の小道や窪みが感じ取られような気さえする。
ただし温熱環境は最悪。床置きのエアコンが何台も稼働しているのだが既にかなり暑く、開口部は出入り口の4カ所のみ。せめてもう少し開口部があれば…と考えてしまった。植物にも過酷な環境だろう。石上氏の設計には植物が不可欠な感じで入り込んでいるが、その扱いにはいつも疑問を覚えてしまう。やっぱり空気は動いてないとなぁ。FIXガラス多用はんた~い。
ただ柱の立ち方のみに労力を傾注し、その結果得られた空間の質は革命的に素晴らしい。あ、大学の設備だから真夏と真冬は休暇で使用しないってことにすればいいんじゃないか。きっとそうだ。

2008. 5. 9建築探訪

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