Tato Architects / Yo Shimada

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中山さんのオープンハウス


中山英之さんにお招きいただき、新作住宅を京都で拝見してきました。
神社の脇に建つのだけれど、牧師館のようにも見える、まったく新しいような懐かしいような、時代を感じさせない住宅。前作よりも名伏し難い謎めいた空間に、あれはいったい何だったのだろうかと考え続けています。
建物に入った瞬間は事前に見ていたスケッチの印象に引っ張られたせいか、中央のボリュームがあと1.3倍ほど大きい方が良いのではないかと思いながら見はじめたのですが、奥行きを消失させる南側のR壁と、北側のガラス壁、扉を開けるたび、階段を上り下りするたびに境界をひょいと飛び越えるような感覚に、空間の大きさがすっかり判らなくなってしまいました。
階段を上下しているうちに境界を飛び越える感覚は、大好きな住宅の一つである中村好文さんの上総の家を思い出させたりするな、などと思いながら過ごしているとあっという間に夕方です。
表裏で微妙に明度を変えた扉の薄いグレーやホーロー製のようにポテッとした表情の家具は流石で、真似できそうにありません。前作では少しキリキリとチューンされ過ぎな感じが若干気になったのですが、そういう部分はなくなって大らかな感じがしました。
ただ、巨大なガラス面はやはり住宅というよりは、商業施設や公共施設のようにも見えてしまうので、作っておられたカーテンが掛かったところを見てみたいと思いつつ、帰路につきました。
あのささやかな場所で、これから家族4人がどう暮らされていくのか、とても興味があります。

2009. 10. 22建築探訪

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