Tato Architects / Yo Shimada

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「ARCHITECTURE AFTER 1995」キックオフミーティング。

建築家の藤村龍至氏と社会学者の鈴木謙介氏による講演と対話を聞いてきた。
内容はtwitterによる実況で追うことが出来、blogにまとめられたりしているので取り急ぎ感想だけ。
とても刺激的で知見に満ちた内容で、最近もやもやと考えていたことが、段々と繋がっていく興奮を味わいつつ聴かせてもらった。藤村氏の議論は繰り返し語られ、目にしてきたが、はじめて腑に落ちる部分もあり、今回は特に教育者、運動家の側面を強く感じさせられた。
鈴木氏の言説はほぼ初めて接したのだが、空間とは、前近代では時間で区切られていた生活区分を領域に固着したもの(例えば祝祭空間はある期間立ち上がるものだったが都市に定着された。)等、興味深い話が色々とあった。最も印象に残ったのは現在のコミュニケーションと合意形成の状態、そしてその限界についてだった。氏の話からは情報ツールの高度化により解法が見つかるのではないかとの示唆が感じられたのだが、これは東浩紀氏等が最近提唱している民主主義2.0等にも繋がる話だと思われる。また、そのことに関連して思い出されたのは最近のtwitterによる知の問題だった。
いま、一部の建築界のみならずさまざまな分野の人たちがtwitterというツールにより議論を深めていて、一部では刺激的な状況が起こっているように思う。はじめてみる前は何となく流行のコミュニケーションツール位で考えていたのだが、2,3行程度のつぶやきによって自分の知見が刺激されるのは新鮮な体験で、小松左京のSF小説の一部のような状況が起こっているともいえる。
その後、対談は建築現場の祝祭性による郊外の復興、googleのアルゴリズム構造による集合知、消費の場としてではなく、つくることによる承認の場としての地方の復権などなど、かなり重要なキーワードがいくつも提出されたように思えた。
AD&Aギャラリーでの展示は1F中央のスペースが空いており、2日間のワークショップにより1995年以降の住宅の模型が230あまり置かれることになるそうで、その熱気を確認しに、また見に行きたい。2Fの展示は同世代の作品と言うこともあり、それらの作品と、自分の活動との距離を測り、どう補助線が引けるかを考えながら見ていた。構造家の満田さんの展示が最も興味をそそられたのだが、生憎OPパーティーの騒音で内容が聞き取れそうになかったので、こちらも後日再確認しに行きたく思った。
一連のRAJの活動からはオルタネイティブなメディアを立ち上げようとする熱気が感じられ、日本の建築界に久しく無かった風を起こそうとしているのではないかと思う。10+1の廃刊など既存メディアの退潮が感じられる中、自分のこれからの発信方法について深く考えさせられた週末だった。

2009. 11. 9雑感

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