北野の住居Ⅰの椅子がやっと決まる。
これが一番空間(と予算)には合うがどうだろう?
と思っていた椅子を他の椅子の資料と取り混ぜてポストに放り込んでいただけなので
(施主U氏が多忙で打ち合わせ時間が取れないのだ)心配していたのだが意中の椅子がU氏にも気に入ってもらえた様子で助かった。早速メーカーの担当者にサンプルを運んでもらって座り心地を確かめてもらう。明日には家まで届けてもらえるようで素早い働きに感謝。と思ったら4脚しか在庫が無く(本当は6脚必要)あとの2脚は3月末にならないと出来ないという。残念。
椅子は吉岡徳仁のKISS ME GOODBYE。しかしこの名前、電話で連呼するにはちと照れます。
施主さんの都合で結局3ヶ月ほど遅れたのだが
上手い具合に現場が回ることになってこちらにとっては好都合。
北野の住居1と同じチームで施工することになった。
いろんな職人と目標に向かって知恵を出し合っているときが一番楽しい。
北野の家の竣工時には棟梁や電気屋に感謝して帰り道、少し涙が出た。
多分ちょっと興奮していたんだと思う。
K’sの鉄の茶室を見学に。9mmの鉄板で構造をつくり、同時にそれが仕上げでもあるという建築で、ほとんど野外彫刻の域。もっと2次元と3次元の境にあるような非在感があるかと思ったが、意外としっくりと庭園におさまっていた。おそらくは開口部のつくり方によるものだろう。
ふと思ったが断熱塗料って車には使えないのだろうか。
その後三井ホームの設計したという豪邸での謎のパーティーに。
設計担当者の自慢気な表情に「手堅い設計ですね。」とかなんとか言って帰る。
この規模の家にしてはちょっと異常な豪華さ。
洗面台の前のマジックミラーの後ろにワインセラーが隠してあり、夕暮れと共に現れるはず。ガラスドアを開けると浴室。どこまで反射性を高めるべきか思案中。
反射性を高めると合わせ鏡状の空間になるのだが、そこまでやるべきかどうか。
いよいよ仕上がってきた。最高に楽しい時間の始まり。予想通りに行っているところ。予想ほどは効果の無かったところ。既知の空間、見知らぬ空間。色々検証しながら現場を右往左往。ここ2.3日はほぼ現場で朝から晩まで過ごしている。追加でちょろちょろと仕事をお願いしつつ、最後まで指揮棒を間違えずに振れるか。今回はマジックミラーを使った反射空間が上手くいくかが気になっていたのだが、ようやく何とかなりそうな感じになってきた。
朝起きて素晴らしい天気になりそうな予感がしたので高知行きの電車に飛び乗り
何とか夕暮れまでに敷地にたどり着いた。
雄大な景色の敷地で、こりゃ小賢しい建物では無理だな。とかなんとか考えているうちに終バスの時刻。4時間弱揺られて22:30には三宮。どうやらバスが一番楽そうだ。
高村薫の分厚いハードカバー上下刊を持っていったのだが、あらかた読み終わってしまった。
これから本の消費量がまた増えそうだ。いいことなのかどうなのか。
高名なフランス料理店のオーナーシェフ(残念ながら店は閉めてしまわれましたが)
の自邸を見学。ついでにお昼をご馳走になる。自邸はニッチ状の小スペースが集積して出来たような、とても親密な雰囲気。築20年とのことだが、とても愛されているようで素晴らしい佇まいを醸し出していた。
その後京都に出向いて中山英之氏のレクチャーに。予想外にお茶目な人柄でトリコになる。トーネットの14番のスライドを映しながら「凡庸すぎて、透明化しちゃって、見えない感じ」が好きだと言う話で、同意しつつも、おそらく世の建築家は同じ意図でウェグナーやアントチェアを選んでるのではないだろうか、と思ったり。
今計画中の住宅の床の厚さが、わずか50mmだとの話を聴いて確かに構造家と組むことによって見えてくる地平(何でこういう時って地平って言うんだろう?あと考えておこう)もあるんだろうと考えたり。
ついでに内装を設計させていただいた雨林舎に寄って食事をして、オミヤまで頂いて帰る。
ごちそうさま。
現場は終盤。あと1週間で終わる。色々な現象が想定どおりに作動してくれると嬉しいのだが。写真は二階居間。稜線を振った屋根型がドームのような広がりを創り出してくれることを期待。
今回は自分でもうんざりするよな細かい図面を書いてしまった。はんせい。パッと見あまり細かいことを考えていないように仕上がって欲しい。
グールドが草枕(漱石)を愛読書にしていたとは知らなかった。
草枕ってどんな内容だったろうか?今度読んでみよう。高知通いで時間はたっぷりありそうだ。
あの人を舐めたレコード業界の産物であるCCCDとかいう奴が終わりに近づいてるようで純粋に嬉しい。(うちのオーディオでは再生不可だった。仕方なくパソコンに取り込んで聴くようになり、おかげでiTunesを使うことを覚えたので業界の意図とは全く正反対の結果をもたらしたわけだが)
CCCDにして売り上げが伸びるかと思ったら逆に買われなくなったというのはなんだか物悲しい話。
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タト